風邪と新型コロナを見分けられる?
今季、外来で診療をなさっているドクターによると風邪の患者さんがかなり増えて忙しい、とおっしゃっていました。いわゆる夏風邪です。
夏は免疫が落ちやすく、帯状疱疹やヘルペスの患者さんも目立っているそうです。コロナを疑って受診される夏風邪や体調不良の患者さんに初期対応の大切さを訴えていました。
外来に当たる医師にとって風邪と新型コロナウイルスの見分けは実際かなり難しいそうです。
コロナ過で浮かび上がった医療構造の欠陥
ところで、日本では医院、診療所のおよそ8割が民間で、あとの2割が国公立の病院つまり税金で運営されています。民間ではままならない感染者を、公立病院がほぼ引き受けている状況があります。
パンデミックになり、日本では新型コロナウイルスが指定感染症2類相当と分類されました。これは致死率5割超えのエボラ出血熱並みの対応を要求されたことになります。
その影響で、余力がない民間病院がこれに応えるにはあまりにも負担、責任が過大なため、コロナ対応に及び腰になってしまいました。
従業員が濃厚接触者になったり、万一クラスターでも起きたらいきなり経営難、マスコミによる風評被害も出るでしょう。患者さんの受け入れ拒否、医療崩壊、という過激な表現で一部のマスコミは報道しました。
日本で医療崩壊が本当に起こるのか、と当初から疑問でしたが、よく調べると偏った医療構造の問題は今に始まったわけではなく、ずっと以前、戦後から引き継がれて今に至る問題でした。
日本独特の医療構造上の問題が、思うように進まない感染症対策の妨げになっていることが見えてきました。
従来の季節性インフルエンザは5類に分類されていて、毎年日本で1千万人程度の感染者が報告され毎年3千人以上が亡くなっていますが、これによる医療崩壊はかつて聞いたことがありません。
自宅待機、自宅療養の被害が出ている今、季節性インフルエンザ並みに多くのかかりつけ医、クリニックが積極的に診察、対応できるよう「すみやかにコロナを5類指定へ」という要望が再び大きくなってはいますが…
免疫を落とす生活習慣を続けていれば、いつ感染者になってもおかしくない
世界でもワクチン接種率が上がってくるにつれ、日本もワクチンの接種は進展してきましたが、今度は二回では不十分として三回目の接種を薦められています。ウイルスの変異、あらたな新興ウイルスの出現を予想するとこれで収まるとは思えず、延々と接種を続けるほかないのでしょうか…
「他人にうつさないため」という期待で接種したワクチンの効力ですが、厚労省のホームページの最後では
なお、これらのデータは臨床試験と異なり、同じ条件の対照群を置くことが困難なこと等から、結果に偏り(バイアス)が生じやすいことに注意して解釈し、今後の様々な研究結果を見ていく必要があります。また、ワクチンの発症予防効果は100%ではないことを踏まえると、接種後も引き続き、感染対策を継続することが重要です。
人体は自分に害を与える抗原を見分け、それを認識したら適切な抗体を作って排除するという素晴らしい免疫システムを備えています。これを保持して行くのが目標で、ワクチンやマスクなど感染症対策さえしておけば…という一部に偏った対策では体を包括的に守っているとは言えません。
ちなみに、今風邪を引いたら大ごとです、感染者として扱われる事態では病院の受け入れもままならないのです。
ケガにも病気にも感染症にも活かせる免疫力、その有効性が試される例として、めったに風邪を引かないとか、引いても三日もあれば確実に治せてしまうとか、そういう状態に普段から身体をコントロールしておく、それが免疫力の試し方、活かし方になるのではないでしょうか。
「風邪は万病のもと」と昔から言います
乾燥が進み冬が近づくと一般的に「風邪という名の体調不良」はだれにとっても身近な問題です。
でも、なぜか日本人は少々の体調不良では休まない、休むことを良しとしない風潮があります。会社や学校を優先し、勤勉や皆勤が美化されてきた所以が考えられます。
でも、これからはそんな美談は不要です。ともかく今は風邪を引かないこと、風邪から悪化させないことです。
見落としがちなのが、体調不良の最初の段階で身体をミスリードしていないか、手軽に使用した市販薬で身体に無理を強いてiないか、かえって長引かせこじらせる結果になってしまわないか…
コマーシャルなど外部の情報を受けやすい頭(大脳)と、365日防御反応を発揮している身体。両者の判断のズレ、せめぎ合いはコロナ禍でも起こりました。
頭と身体のせめぎ合いはストレスになり、その人の大事な免疫や治癒力を低下させる要因になってしまいます。
症状という体のサインが有り難いと思えるように
体調不良=風邪の初期段階をいかにコントロールするか、それによって予防にも回復にも重要な自己免疫を活かすことが可能です。免疫系がしっかり働いてくれれば弱ったところに仮にウイルスが付着(暴露)しても感染に至らず、症状が出たとしても初期段階で治癒させ、悪化させるのを防ぐことが出来ます。
風邪を引いたかな、と思ったら「早めの○ブ○ン!」ではありません。自宅での三大療法は意外にも単純明快です。
- とにかく寝ること、休むこと。睡眠の確保です。寝ている間にT細胞など免疫細胞が体中をパトロールしてくれ、異物や外敵を見つけ、対処してくれるからです。夜更かしでせっかのくシステムを使い損ねてはもったいない
- 栄養を二の次にすること。食事による消化というエネルギーの消費は回復のスピードを遅らせます。具のない味噌汁や野菜スープ、水分補給だけにしましょう。
- 初期段階は身体を温めましょう。これもエネルギー温存のためです。汗をかいたら着替え、気化熱で身体を冷やさないようにしましょう。お風呂も疲れますので、入るなら短時間の腰湯程度に。回復へ向けるエネルギー温存のために。
もし体調が思わしくなければ、我慢や無理をしないで休むことが大事です。日本医師会ホームページより